名古屋大学 生物機能開発利用研究センター

WISH

WISHプロジェクトとは?

私たちの研究室ではイネを対象に日々研究を行っています。突然ですが、ここで皆さんに1つ質問をします。食糧とは、「安定的に供給されるものでしょうか?」。その答えは日本国内で考えると「安定的に供給されるもの」でしょう。しかし、ひとたび世界に目を向けるとどうなのでしょうか?
FAO(国際連合食糧農業機関)によると現在、世界では約8億7,000万人の人々が栄養不足であると推定されており、これは全人口の12.5%、すなわち8人に1人の割合に当たります。また、このうちの大半、約8億5,200 万人が開発途上国に住んでおり、飢餓やそれに関連する病気のため、毎日2万5,000人が命を落としています。そのうち1万4,000人は5歳以下の子供であり、6秒に1人、子供たちが命を落としているのです。また、世界の人口は年々爆発的に増え続けており、2013年現在の70億人が、2050年には90億人を突破すると予測されています。増え続ける人口に見合う食糧を確保するには、今の1.7倍もの食糧増産が必要だといわれています。私たちはこれらの食糧問題に対して、農学の立場から解決のためのアプローチを考え、イネの品種を改良して世界に無償で配布するWISH(Wonder rice Initiative for food Security and Health)プロジェクトを立ち上げました。現在、国際協力機構(JICA)、国際イネ研究所(IRRI)に協力して頂きながら、このWISHプロジェクトを進めています。

WISHプロジェクトで何を行っているのか?

WISHプロジェクトは、まず世界の農業にとって有用である遺伝子を見つけることから始まります。当研究室ではこれまでにイネの種子数を増加させる遺伝子Gn1a、イネの穂につく枝の数を増やす遺伝子WFPを見つけてきました(図1)。

 
次に、これらの遺伝子を遺伝子組換えではなく、交配によって改良したいイネに移します(戻し交雑という交配方法を用います:図2)。

 
そのため、私たちが改良しているイネはすべて非遺伝子組換え作物です。さらに、アフリカや東南アジアでは病害虫の被害も深刻であるため、収量性に関わる遺伝子だけでなく耐病害虫性の遺伝子も同時に積み込んでいます(有用遺伝子のピラミディング:図3)。

 
現在、私たちは改良したイネの収量を調査しており、WFP遺伝子を持つ系統は穂につく枝の数が増え、その結果、穂当たりの種子数が増加することがわかりました(図4)。

 
私たちの研究室では各メンバーがバイオテクノロジーを用いた基礎研究に取り組んでいます。同時に、人類の持続的な発展に少しでも貢献できるよう、研究室で得た結果を今まさに世界に広げようとしています。興味をお持ち方はぜひとも研究室に話を聞きに来てください。

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